庭先にイノシシの足跡を見つけたとき、多くの人が真っ先に考えるのは「自分でどうにか捕まえられないか」ということです。
けれど害獣駆除には、実は資格や許可が絡んでくることをご存知でしょうか。
「うちの敷地内なんだから自由にしていいはず」と思って行動すると、知らないうちに法律違反になってしまうことがあります。
資格の種類、取得にかかる費用や期間、関係してくる法律まで、この記事でひとつずつ整理していきます。
害獣駆除を無資格・無許可で行うとどうなるか
ハクビシン、アライグマ、イタチ、イノシシなど、住宅や畑を荒らす野生動物の多くは、鳥獣保護管理法によって保護されています。
そのため、たとえ自分の家や畑に出没した個体であっても、無許可で捕獲したり傷つけたりすることは法律違反です。
実際に、無許可での害獣駆除には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があり、これは個人だけでなく企業であっても同様とされています。
「害獣だから何をしても構わない」という発想は通用せず、駆除する側にも一定の手続きと資格が求められる仕組みになっているのです。
例外は、法律の対象外とされる一部のいえねずみなど、ごく限られたケースのみです。
害獣駆除に関わる2つの法律をまず押さえる
害獣駆除の資格を理解するうえで前提になるのが、「鳥獣保護管理法」と「銃刀法」という2つの法律です。
鳥獣保護管理法(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)は、野生鳥獣の捕獲・殺傷そのものを規制する法律で、狩猟免許や捕獲許可の根拠になっています。
一方の銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)は、銃という「道具」の所持・使用を規制する法律で、猟銃や空気銃を使う場合にだけ関係してきます。
つまり、わなや網だけで駆除するなら鳥獣保護管理法の理解だけで足りますが、銃を使うなら銃刀法上の手続きも別途必要になるということです。
銃を使う場合は、鳥獣保護管理法だけでなく銃刀法上の保管・携行ルールも守らなければならず、免許取得後も気を抜けない部分です。
狩猟免許は4種類「わな猟・網猟・第一種銃猟・第二種銃猟」
害獣駆除に関わる資格の中心となるのが狩猟免許で、猟法ごとに4つの種類に分かれています。
狩猟免許は第一種銃猟免許(散弾銃・ライフル銃)、第二種銃猟免許(空気銃)、わな猟免許、網猟免許の4種類に分かれており、銃猟免許の取得には20歳以上という年齢制限が設けられています。
一方でわな猟免許・網猟免許は18歳以上であれば受験可能で、若い世代や女性の取得者も増えている免許です。
試験は知識試験・適性検査・技能試験の3つで構成され、それぞれの猟具を実際に扱う実技も課されます。
事前講習会を受講したうえで臨めば合格率は8〜9割程度とされていますが、講習を受けずに独学で挑むと、特に技能試験で不合格になりやすいといわれています。
狩猟免許は取得して終わりではなく、都道府県ごとの狩猟者登録は基本的に毎年の更新が必要になる点も覚えておきましょう。
わな猟免許で害獣駆除をする場合に知っておきたいこと
イノシシやアライグマ、ハクビシンなどの被害対策として近年人気が高いのが、わな猟免許です。
くくりわな、はこわな、はこおとし、囲いわななど、複数のわなの種類があり、銃を持たずに取り組める点が特徴です。
ただし免許を取得しても、設置する場所や見回りの頻度、誤って別の動物やペットを捕獲してしまわないような配慮など、守るべきルールは少なくありません。
捕獲後の止めさし(とどめを刺す作業)や死骸の処理まで含めると、体力的にも精神的にも負担が大きい作業になる点は理解しておく必要があります。
免許を取ったばかりの初心者が、いきなりイノシシなどの大型獣を相手にするのは危険も伴うため、経験者と同行しながら少しずつ慣れていくのが現実的です。
資格取得から始めるとなると、被害が解決するまでにはどうしても時間がかかってしまうもの。
今すぐ被害を止めたい場合は、資格を持った業者に任せるという選択肢もあります。
害獣駆除業者お勧めランキングTOP3
猟銃を使うなら狩猟免許とは別に「鉄砲所持許可」が必要
散弾銃・ライフル銃・空気銃を使って害獣駆除をしたい場合は、狩猟免許に加えてもう一段階の手続きが必要です。
銃を扱うためには公安委員会で鉄砲所持許可を受ける必要があり、ライフル銃については散弾銃を10年以上持ち続けなければ原則として許可されないという条件もあります。
所持許可の申請では、身分証明書、経歴書、同居親族書、医師の診断書、講習修了証明書など、多くの書類提出と審査が求められます。
銃を保管するためのガンロッカーの用意も必要になるため、費用・手間の両面で最もハードルが高い資格取得ルートといえます。
それだけに、鉄砲所持許可は害獣駆除業を営むうえで必須というものではなく、罠や網だけでも対応できる害獣は多いとされています。
所持許可は取得して終わりではなく、3年ごとの更新や定期的な講習も必要になるため、長く付き合っていく前提で検討する必要があります。
狩猟免許だけでは駆除できない?「捕獲許可」「従事者証」の仕組み
意外と見落とされがちですが、狩猟免許を持っているだけでは、好きなときに好きな場所で害獣を駆除できるわけではありません。
住宅街や田畑に出没する害獣を駆除する「有害鳥獣捕獲」を行うには、自治体(市町村や都道府県)から捕獲許可を受けるか、従事者証の交付を受ける必要があります。
猟銃の所持許可申請でも、有害鳥獣駆除の用途で申請する場合には鳥獣捕獲許可証または従事者証の提示が求められるとされています。
つまり「免許」「所持許可」「捕獲許可・従事者証」という、複数の手続きが積み重なって初めて、合法的に害獣駆除ができる状態になるわけです。
個人でこの一連の手続きをすべて整えるのは簡単ではなく、時間もかかるため、被害が急を要する場合は自治体窓口や専門業者への相談が現実的な選択肢になります。
資格取得にかかる費用と期間の目安
狩猟免許の取得には、試験の申請手数料として5,200円(再受験の場合は3,900円)がかかります。
これに加えて、多くの人が受講する事前講習会(初心者講習会)の費用が数千円から1万円台、医師の診断書取得費用が2,000〜5,500円ほど必要になります。
合格しただけでは狩猟はできず、都道府県ごとに狩猟者登録が必要で、登録手数料1,800円に加えて狩猟税(わな猟の場合は8,200円程度)も発生します。
銃猟免許の場合はさらに、猟銃等講習会や教習射撃、所持許可申請の費用が上乗せされるため、初年度の総額は免許の種類によって大きく変わってきます。
なお、有害鳥獣駆除に従事している場合は狩猟税が減免される制度があり、自治体によっては取得費用の一部を補助する制度を設けているところもあります。
「まずはわな猟免許から」という形で、比較的取り組みやすい資格から段階的にステップアップしていく人も少なくありません。
猟期や許可申請のタイミングを気にせず、今困っている被害にすぐ向き合いたい方へ。
専門業者なら現地調査から駆除、再発防止まで一貫して相談できます。
害獣駆除業者お勧めランキングTOP3
猟期(狩猟期間)と有害鳥獣駆除の違い
「資格を取ればいつでも駆除できる」と思われがちですが、趣味としての狩猟には期間の制限があります。
狩猟ができる期間は原則として11月15日から翌年2月15日までの3カ月間と法律で定められており、北海道は10月1日から1月31日までとなっています。
この期間を「猟期」と呼び、対象となる鳥獣や都道府県によって延長・短縮されることもあります。
一方で、自治体の許可を受けて行う「有害鳥獣駆除」は趣味の狩猟とは異なる枠組みのため、猟期に関係なく通年で対応できる場合があります。
住宅街に出没する害獣に困っている場合、個人で猟期を待って狩猟免許での対応を考えるより、有害鳥獣駆除の制度や専門業者を頼るほうが現実的なケースが多いといえます。
害獣駆除業者が持つ専門資格「防除作業監督者」「鳥獣管理士」
害獣駆除を仕事として行う業者は、狩猟免許以外にも専門資格を持っていることがあります。
防除作業監督者は防除作業の監督を行える国家資格で、防除業の登録の際に必要とされる資格です。
また、人と野生鳥獣のトラブルについて地域で指導する立場になれる「鳥獣管理士」という民間資格もあり、1級から3級までの区分に分かれています。
こうした資格を複数持つ業者は、法律に則った駆除だけでなく、再発防止や被害予防まで含めた専門的な対応が期待できます。
業者を選ぶ際には、狩猟免許や所持許可の番号、防除業の登録状況などを見積もり時に確認しておくと、後々のトラブルを避けやすくなります。
複数の業者に相談し、資格の有無や対応範囲、費用の内訳を比較したうえで依頼先を決めることをおすすめします。
資格がなくてもできる害獣対策とプロに依頼するメリット
狩猟免許や捕獲許可がなくても、資格不要で取り組める対策もあります。
ただし、これらはあくまで応急的な対策であり、すでに住み着いてしまった個体そのものへの対処にはなりません。
捕獲や駆除、死骸の処理まで含めて対応するには、やはり必要な資格を持った専門業者に依頼するのが確実で安全な方法です。
資格取得を検討する時間すら惜しいほど被害が進んでいる場合は、まず専門業者に現状を見てもらうところから始めるのもひとつの方法です。
よくある質問(FAQ)
害獣駆除に資格は必ず必要ですか?
捕獲や殺傷を伴う駆除には、原則として狩猟免許や自治体の捕獲許可が必要です。
ただし忌避剤の使用や侵入口の封鎖など、動物を直接捕獲・殺傷しない対策であれば資格は不要です。
害獣駆除業者にはどんな資格が必要ですか?
業者によって異なりますが、狩猟免許や鉄砲所持許可、防除作業監督者、鳥獣管理士などの資格を組み合わせて持っていることが多いです。
罠や網だけで対応する場合は、鉄砲所持許可がなくても営業自体は可能です。
わな猟免許はどうすれば取得できますか?
18歳以上であれば受験可能で、都道府県が実施する知識試験・適性検査・技能試験に合格することで取得できます。
合格後は狩猟者登録を行うことで、実際にわなを使った捕獲活動ができるようになります。
害獣駆除の猟師になるにはどうすればいいですか?
まずは狩猟免許を取得し、都道府県への狩猟者登録を済ませることが出発点になります。
実際に地域の害獣駆除に関わる猟師として活動するには、地元の猟友会に所属し、有害鳥獣捕獲の従事者として自治体に登録するのが一般的なルートです。
経験豊富な先輩猟師に同行しながら、わなの設置や見回り、銃の取り扱いを実地で学んでいく人が多いです。
狩猟免許の取得にはどれくらい費用がかかりますか?
試験の申請手数料や講習会費用、診断書代などを合わせて、わな猟免許なら数万円程度が目安になることが多いです。
銃猟免許の場合は所持許可の取得費用が加わるため、初年度の総額はさらに高くなる傾向があります。
無許可で害獣を駆除するとどうなりますか?
鳥獣保護管理法違反として、懲役または罰金といった罰則の対象になる可能性があります。
「自宅の敷地内だから問題ない」という理由は法律上の免罪符にはならないため、注意が必要です。
猟期以外は害獣駆除ができないのですか?
趣味としての狩猟は猟期(おおむね11月15日〜2月15日)に限られますが、自治体の許可を受けた有害鳥獣駆除は猟期に関係なく行える場合があります。
被害が深刻な場合は、自治体の窓口や専門業者に早めに相談するのがおすすめです。
まとめ
ここまで見てきたように、害獣駆除に関わる資格は狩猟免許だけではありません。
免許の種類、所持許可、捕獲許可・従事者証という複数の手続きが組み合わさって、初めて合法的な害獣駆除が可能になります。
資格取得には時間も費用もかかるため、今すぐ被害を止めたい場合は、必要な資格をすでに持つ専門業者に相談することも有効な選択肢です。

